大事なメンテナンスってなに?
こんな悩みにお答えします!
本記事の内容
- メンテナンスの重要性
- 「超重要」基本的なメンテナンスの内容
- 日々の手入れの内容
編集者の紹介/記事の信頼度
本記事はギター歴15年(最初の4年は完全に独学)で、現在は独立し少人数マンツーマンギター教室を運営しているギター講師が執筆をしています。
自身が独学で悩んだ経験や独学に悩んで教室に訪れた生徒とのレッスン経験をもとにしたリアルな本音記事です。
メンテナンスされているかどうかで上達速度が変わります。
なぜメンテナンスで上達速度が変わるのか
これはどんな道具でも同じです。
包丁は研がなければ切れなくなりますし、自転車はタイヤに空気を入れてあげないと走りにくくなります。
ギターはメンテナンスしないと弾きにくい状態になるのです。
今現在コードを鳴らすことに苦労したりしている場合はギターの状態が自分に合っていない場合があります。
テニスやバドミントン、ゴルフなど道具を使うスポーツにたとえましょう。
そういったスポーツを始めるにあたり、あなたに最適な扱いやすい道具で練習を始めるのと、ほかの人に使えてもあなたにはイマイチあっていない道具で始めるのとでは、どちらが上達が早いでしょうか?
答えは明らかです。
ぼくの教室にも弾きにくいギターを使っていらしゃる方が来ることが多く、メンテナンスをしたとたんに一気に弾けるようになるということは多々あります。
メンテナンスの効果を甘く見てはいけません。
上達速度も変わってしまいます。
メンテナンスの内容
ではそういった上達速度にかかわるメンテナンスとは何なのか見ていきましょう。
最も重要なのは3つの調整です。
最初の2つは演奏性、弾きやすさにかかわる調整。
最後の1つは音程にかかわる調整です。
ネック調整
ネックの反りを調整します。
ギターは木材でできているため、湿度や気温によって曲がってしまう事があります。
これはごく一般的で、どのギターにも起こることです。
もしネックが曲がったからと言ってそのギターが不良品だというわけではありません。
ギターにはネックの反りを取るための調整部品、「トラスロッド」があります。
この調整には知識が必要なので、楽器店などで調整を依頼しましょう。
下手に触ると故障の原因にもなります。
弦高調整
サドル(ブリッジにある弦が乗っている駒)を調整し、弦高を整えます。
弦高とは弦とフレットの頂点の距離です。
フレットの山の頂点から弦の下側までを測ります。スケール(ものさし)はしっかりと立てて指板に垂直に。
斜めになってしまうと正確に測ることができません。
弦高を正確に測ることはとても難しくて、自分で測る寸法はあくまで目安程度に考えておきましょう。
メンテナンスのプロは0.1mm単位で調整しますが、素人にはそれを測るのも難しいです。
ギターの調整の世界において1mmはとても大きな距離です。
1mm違うだけで弾き心地はめちゃくちゃ違います。
アコースティックギターの場合はサドルを削って下げ、エレキギターの場合はねじを回して調整します。
エレキギターの場合はねじなので自分での調整も可能ですが、アコースティックギターの場合はサドルを取り外し、やすりで削るので取り返しがつかない作業です。
自分で調整しようとして失敗したという話が多い部分ですから、ここも楽器店で依頼しましょう。
オクターブチューニング
エレキギターの場合には必須の調整です。
逆に、アコースティックギターの場合には必要のない調整です。
ギターには通常のチューニングのほかに「オクターブチューニング」というものがあります。
通常のチューニングは開放弦の状態での音程を調整するものですが、オクターブチューニングは弦を押さえたときの音程を調整するものです。
正しい音程を出せる楽器を使わないと、どれだけ演奏技術があっても聞く人には下手に聴こえてしまいます。
メンテナンス時期
メンテナンスは季節の変わり目に行うとよいです。
気温湿度が大きく変わり始める6月~7月と、10~12月あたりはギターの状態が変化しやすい時期です。
この期間にそれぞれ1回ずつ、メンテナンスが必要な状態になっていないかチェックしておくのがベストです。
- いつもよりなぜか弾きにくくなっている
- いつもと音が違ってきている
- 1Fと最終フレットを押さえた時、弦とフレットに大きく隙間がある。もしくは全くない。
上記のような場合には楽器店に持ち込みチェックしてもらいましょう。
日々の手入れ
日々の手入れでしたほうがいいこと
日々の手入れでは演奏後に拭き掃除をする程度で十分です。
特に何かしなければならないということはありません。
ただし、弦のサビには注意しておきましょう。
さびた弦はざらついていて、「やすり」や「のこぎり」のような状態になっています。
そのまま使用すると指を切ってしまったり、フレットを削ってしまったりする原因になります。
このようにへこんでしまうと最終的にはそのフレットの音が出ずらくなり、「すり合わせ」という調整を行う必要が出てきてしまいます。
よく弦を緩めるか緩めないかって話になるけれど…
これには諸説あり、いまだに何がベストなのかという答えは出ていません。
ぼくの場合は長期保管する場合を除き弦を緩めたりはしません。
少し難しい話になってしまうのですが、弦を張ってある状態でネック木材の剛性やトラスロッドとのバランスが保たれるのが最も良い状態だと思っています。
であれば、緩めなければ反ってしまうということはまだバランスが取れていない状態なんだと考えます。
まだまだ調整の余地があるので、弾きやすい状態を安定して保てるようにするために、張りっぱなしでしっかり調整を重ねるほうがいいんじゃないかというのがぼくの考えです。
ただし、長期保管の場合はそもそも演奏性を維持するとかそういう事ではなく、状態を維持するほうが優先なので弦を緩めますね。
特にアコースティックギターの場合は絶対に緩めます。
弾き続ける場合には、緩める必要は低いと思います。